心的外傷(1)

記事の要点

  • 心的外傷(トラウマ)とは、
    強い衝撃的体験によって心が傷つき、
    その影響が長く続く状態を指す
  • 「心の怪我」「心の損傷」ともいえるもので、
    自然には癒えにくい
  • 主な原因は、
    戦争・犯罪・事故・災害・
    いじめ・DV・虐待・ハラスメントなどの
    強いストレス体験
  • 結果として、
    解離症状フラッシュバックなど、
    さまざまな否定的影響を及ぼすことがある
  • 症状が一定期間持続すると、
    「PTSD」や「複雑性PTSD」などの
    診断がなされる場合がある

「外的・内的要因による
身体的および精神的な衝撃を受けた後で、
長い間それにとらわれてしまう状態で、
また否定的な影響を持っていること」
(ウィキペディアより)

「日常生活の中で事件(外的衝撃)が起こり、
それが強烈であるために
個体がそれを適切に処理できず、
心的機構に病因となるような混乱
その他の作用が残りつづける場合をいう」
(精神分析事典より)

これらの定義からもわかるように、
心的外傷とは、
強い衝撃的体験によって心が傷つき、
その影響が長く続く状態を指します。

「外傷」とは本来、
身体の怪我や損傷を意味しますが、
心的外傷とはいわば「心の怪我」や
「心の損傷」といえます。

その「傷」が自然に癒えず、
長く存在し続けることで、
否定的な影響
──たとえば解離症状フラッシュバックなど──
をもたらすことがあります。

心的外傷を引き起こす出来事としては、
戦争、犯罪、事故、大規模災害、
いじめ、DV、虐待、暴力、
さまざまなハラスメント・・
などが挙げられます。

こうした出来事による影響が
一定期間を超えて持続すると、
「急性ストレス障害」や
「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」、
「複雑性PTSD」などに
診断される場合があります。
また、近年では
「発達性トラウマ障害」という考え方も
提唱されています。
(つづく)

この記事を書いた人

福嶋裕子 臨床心理士・公認心理師(高円寺心理相談室アオイトリ)