発達障害とは(3)

記事の要点

  • ADHDの特徴は「不注意」と「多動性・衝動性」
    どちらか一方、または両方が見られる
  • 不注意の特徴:集中が続かない、
    忘れ物やケアレスミスが多い、
    約束や締切を守れない、など
  • 多動性・衝動性の特徴
    じっとしていられない、
    話をさえぎる、順番を待てない、
    思いつきで行動する、など
  • 診断の基本条件
    症状が12歳までに現れ、
    家庭や学校など複数の場面で見られ、
    社会生活や仕事に支障があること
  • 大人の場合:身体的な多動は減るが、
    衝動的な発言・行動として現れることが多い

―ADHD(注意欠如・多動症)とは―

ADHDとは、
(a) 不注意
(b) 多動性・衝動性
の問題がみられることを特徴とします。


(a) 不注意の問題とは

  • 勉強や仕事でケアレスミスが多い
  • 注意を持続させることがむずかしく、
    集中が途切れやすい
    (あきてしまう、気が散ってしまう など)
  • 人の話を聞きもらす、
    聞き間違える(電話の取り次ぎが苦手なことも)
  • 興味のあることには集中しすぎて
    切り替えができない
  • 「話を聞いていないように見える」と言われる
  • 約束や期日、やるべきことを
    うっかり忘れてしまう
  • 締め切りに間に合わない(先送りしてしまう)
  • 片付けや整理整頓が苦手
  • 優先順位をつけるのが苦手
  • 財布など大切な物をなくす
  • 忘れ物が多い
  • 音や刺激に敏感で、注意が散りやすい
  • 遅刻が多い
    (時間の見積もりが弱い、準備の段取りが苦手)
  • マルチタスクが苦手

(b) 多動性・衝動性の問題とは

  • 座っているのがむずかしく、
    すぐ離席してしまう
  • 不適切な場面で走り回る、よじ登る
  • おとなしく遊ぶことがむずかしい
  • いつも何かに駆り立てられるように
    行動してしまう
  • 話が止まらない、過度におしゃべり
  • 相手の話を最後まで聞けず、
    途中で口をはさんでしまう
  • 順番を待てない
  • 忙しい人の邪魔をしてしまう、割り込む
  • 手足など体を常に動かしている
  • 新しい刺激にすぐ引かれ、
    関心が移りやすい
  • 思いつきで行動し、
    結果を考えずに動いてしまう(衝動買いなど)

診断のための条件

  • これらの(a)(b)の特徴が12歳までに見られること
  • 複数の場面(家庭・学校・職場など)で見られること
  • 他の精神障害では説明できず、
    学業・社会・職業生活に影響があること

大人の場合

大人では子どものような「落ち着きのなさ」は
目立たなくなることがあります。
しかしその代わりに、

  • 思いついたことをすぐ口にしてしまう
  • 考える前に行動してしまう
  • 話が止まらない
    といった形で表れやすくなります。

また、
「夜型の傾向が強い」「昼夜逆転しやすい」など、
生活リズムの乱れを訴える方も少なくありません。


(つづく)

この記事を書いた人

福嶋裕子 臨床心理士・公認心理師(高円寺心理相談室アオイトリ)